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疣贅性癌

疣贅性癌 (Verrucous carcinoma)

本症は、臨床的に発育が緩徐で、疣贅状あるいはカリフラワー状に隆起した角化性腫瘤を呈し、局所に浸潤しても遠隔転移は極めて稀で、低悪性度かつ高分化型の有棘細胞癌の亜型と考えられています。しかし、局所周囲の筋肉や骨に浸潤することも稀にあります。
好発部位は口腔、外陰、喉頭、食道、皮膚(特に足底など)で、発生部位の違いにより、口腔ではoral florid papillomatosis(Ackerman tumor)、外陰部ではgiant condyloma acuminatum (Buschke-Löwenstein tumor) 、足底ではepithelioma cuniculatumなどの名称で呼ばれますが、基本的には同一疾患の範疇であると考えられています。

病因

本症の病因は未だ解明していませんが、ヒューマンパピローマウィルス(HPV)感染説、化学発癌説(喫煙、咬みタバコ、アルコール多飲、檳榔子チューイングなど)、慢性炎症、住血吸虫症(膀胱)が挙げられています。

疫学

白人に多く発症し、男性に多いとされます。一般的には55-65歳頃に発症しやすいですが、外陰や肛囲に発症するものでは、18-86歳の男性に発症することが多いです。

病理所見

臨床的に本症が疑われたら、生検を行って組織学的検索を行います。
角質肥厚、不全角化、角質増殖、乳頭腫を伴う表皮の増殖を示すものの、腫瘍細胞の異型性は軽度で真皮への浸潤傾向も少ないです。

治療

治療としては、扁平上皮癌に準じた外科的切除が第一選択です。一般的には、腫瘍辺縁から4-5mm程度離して、皮下脂肪を含めて切除します。特に皮膚に生じた本症に対しては、Mohs surgeryを行うと、肉眼的に見えない病変の取り残しを大幅に回避できます。
悪性度の低さから、外科的切除以外にも様々な治療(冷凍凝固術、電気乾固術、放射線照射、レーザー切除、光線力学的治療法、化学療法など)が試行されていますが、姑息的治療の可能性があるので、再発を常に考慮しなければなりません。

予後

通常は完全切除出来ていれば予後良好です。再発すると所属リンパ節転移することがありますが、遠隔転移することは稀です。口腔内に生じた本症の場合は、二次性扁平上皮癌が生じる可能性が高くなるとされる為、十分な経過観察が必要です。

執筆:2013.6