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スポロトリコーシス

スポロトリコーシス(sporotrichosis)

真菌の一種Sporothrix schenckii が原因菌で、この菌は枯木や土中など自然界に存在し、特に熱帯や温帯地方に広く分布しています。本症は我国では秋から冬期に主に東北以南で、土と接触する機会の多い農業および園芸業従事者や、土をいじって遊ぶ幼小児に好発します。菌が切り傷や擦過傷、トゲなどの軽微な外傷を介して皮内に侵入し発症するので、病変は露出部に多いです。

症状

数週間から数ヶ月の潜伏期を経て、病原菌の接種部位に一致して紅色の丘疹・膿疱を形成し、次第に増大して硬い浸潤を触れる皮下結節となります。この結節は自潰しやすく、病変中央部で慢性潰瘍を形成します。軽度の疼痛を伴う場合がありますが、その他の自覚症状はありません。皮疹が単発して徐々に増大する"限局型"、リンパ管に沿って上行性に多発する"リンパ管型"、原発巣から血行性に全身汎発性の皮下結節がみられる"播種型"などに分類されます。限局型は小児の顔面や上肢に、リンパ管型は成人の手背から前腕にかけて発生する場合が多いです。

診断

HE 染色により非特異的慢性肉芽腫性炎症像を認めます。ときにエオジン好染の星芒体(asteroid body)と呼ばれる構造が観察されます。これは中央の菌体を好中球由来殺菌物質が星状に取り囲んでいる状態です。蛍光抗体法による菌要素の検出も行われます。
痂皮や滲出液などを採取し、Sabouraud ブドウ糖寒天培地で25℃で培養し、黒褐色のスポロトリコーシスの集落を確認、スライド培養で同定できれば確定診断します。また、本症に特異的な検査としてスポロトリキン皮内反応があります。スポロトリキン抗原液0.1mlを前腕屈側に皮内注射して48時間後の硬結の程度をみるもので、直径10mm以上を陽性とします。近年、組織や分離菌からのDNA診断が、迅速正確な菌同定法として利用されてきています。

治療

通常は自然治癒せず数年にわたり進行するため、治療を行います。ヨウ化カリウム内服が著効し、通常1~3ヶ月で治癒しますが胃腸障害を生じやすいです。イトラコナゾールやテルビナフィン内服、局所温熱療法、外科的切除なども有効です。

執筆:2010.11