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酒さ

 本症は20歳未満の若年者にしばしば繰り返す顔のほてりや発赤として発症し、やがて30-40歳代に鼻や頬を中心に持続性の暗赤色の赤ら顔(顔面中央部に紅斑が生じ、丘疹や丘疹膿砲、鮮明な紅斑、血管拡張などを伴う)を呈する疾患です。この症状がさらに増悪すると鼻瘤を形成したり、眼症状(角膜炎、結膜炎、虹彩炎、強膜炎など)を呈することもあります。また、酒さ患者の皮膚は一次刺激性皮膚炎や接触皮膚炎を生じやすく、所謂敏感肌なので、顔面に使用する製品には十分な注意が必要です。

酒さの病因は未だ不明ですが、エンケファリン、エンドルフィン、ブラジキニンの関与や、表皮に存在する異常カセリジンペプチドによる皮膚炎症の誘起、酸化ストレスの関与などが想定されています。
酒さに悪影響を与える因子として、紫外線、ストレスや化学的・物理的な刺激、胃腸障害、アルコール類、香辛料やホットドリンクなどが挙げられ、これらが症状を誘発・増悪させるので、できる限り回避することが重要です。
治療は塩酸ミノサイクリンやロキシスロマイシンなどの内服で離脱を図り、メトロニダゾール外用やアゼライン酸外用の併用も有効です。クリンダマイシシンやジフロキサシン外用も使用することがあります。時に、intense pulsed lightやpulsed dye laserも効果があります。鼻瘤に至った場合は、形成外科的手術やレーザー治療を考慮します。

執筆:2011.1