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Schnitzler症候群

当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。

Schnitzler症候群 (Schnitzler syndrome:シュニッツラー症候群)

本症候群は、慢性蕁麻疹、間欠熱、関節痛(関節炎)、骨痛などの症状に加えて、血清中にモノクロナールIgM増加を伴うことを特徴とする極めて稀な疾患です。
一般に本症候群は慢性経過を示す良性疾患と考えられていますが、自然寛解することはありません。また、本症の10-15%はリンパ球増殖性疾患(悪性リンパ腫、Waldenstrom型マクログロブリン血症、悪性骨髄腫など)に最終的に移行するといわれています。従って、本症候群はリンパ球や形質細胞がクローン性増殖能を獲得して、緩徐に悪性度を増していく疾患とも考えられています。

症状

皮疹は掌蹠や頭頚部以外の躯幹四肢に生じることが多く、慢性蕁麻疹と同様かあるいは蕁麻疹様血管炎の像を呈し、膨疹は掻痒を伴う場合と伴わない場合があります。時に血管性浮腫を伴うこともあります。体重減少、倦怠感、リンパ節腫脹、肝脾腫を伴うこともあります。また、中高年(平均50歳前後)に生じることが多いとされます。

原因

現在のところ不明ですが、自己免疫異常によるものではないかと考えられており、異常なモノクロナールIgM増加による免疫複合物が生成されて、これにより補体活性が亢進するために本症候群が生じるとの説や、インターロイキン1αの活性が異常亢進するとの説もあります。

診断

臨床症状ならびに免疫電気泳動によるIgM高値を確認します。診断確定後も、悪性化の懸念があれば、リンパ節生検や骨髄穿刺を行うことがあります。

治療

本症候群の蕁麻疹には、抗ヒスタミン薬は無効です。ステロイド内服で症状は改善しますが、長期内服による副作用が危惧されます。コルヒチン、ダプソン、サリドマイドが症例によっては効果があります。PUVA療法も時に有効です。
関節炎や骨痛に対して、NSAIDs、ステロイド内服、免疫抑制剤で、症状がある程度緩和されます。
ペフロキサシン (Pefloxacin mesylate) は本症候群のいずれの症状も軽快し、ステロイド減量効果もあるので使用する価値があるとの報告もあります。
近年、アナキンラ (Anakinra) というIL-1受容体拮抗薬、ならびにリロナセプト(Rilonacept) という可溶化IL-1受容体結合蛋白が本症候群に有効であることが報告されています。

執筆:2012.7