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Necrobiosis Lipoidica

当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。

本症は両下腿に好発し、自覚症状の無い光沢のある境界明瞭な紅褐色斑が徐々に拡大し、色調が黄色調に変化して陥凹した萎縮性病変です。時に、皮膚潰瘍になって疼痛や二次感染を併発したり、萎縮性皮膚に毛細血管拡張を伴うこともあります。

疫学

中高年層に出現しやすが、いずれの年齢でも生じうる。男女比は1:3-7で女性に発症しやすい。
発症部位は下腿に好発しますが、顔面、頭部、躯幹、上肢にも出現することがあります。
特に女性ではほぼ両下腿に限定して出現します。
糖尿病の合併と本症の関係が指摘されているが、必ずしも糖尿病が原因ではないとされている。

原因

未だ原因は明確ではないが、血行障害が発症の基盤になると考えられており、下記のような諸説が提唱されています。
1)糖尿病性microangiographyに起因する説
2)凝固線溶系の異常による微小血栓形成が関与する説
3)免疫複合体による血管炎に起因する説
4)外傷が誘因になる説

病理組織所見:皮下及び真皮に間質性で棚状の肉芽腫を認め、膠原繊維の変性も伴っている。肉芽腫は多核巨細胞、リンパ球、形質細胞、好酸球などから形成されている。また、真皮中下層にある血管壁の肥厚、内皮細胞の腫脹が目立つ。

治療

現時点で、特効薬はありません。
本症への外傷で皮膚潰瘍が生じやすいので、弾性ストッキングなどによる両下腿の安静・保護に役立ちます。
ステロイド外用は本症初期の炎症症状には効果がありますが、萎縮病変には却って萎縮を助長します。
タクロリムス軟膏、トレチノイン外用、コラーゲン貼付、PUVA療法、レーザー治療なども試用されていますが、効果は不定です。
外科的に病変時切除後に皮膚移植しても、再発することも多いので勧められません。
抗血小板凝集療法として、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、やペントキシフィリンが使用され、ある程度の効果が報告されています。 TNF阻害剤として、チアゾリジンジオン、エタネルセプト、アダリムマブ、インフリキシマブなども試用されて、ある程度の改善が報告されています。

執筆:2021.1