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毛孔性紅色粃糠疹

毛孔性紅色粃糠疹 (pityriasis rubra pilaris)

本症は毛孔一致性の1~2mm大の角化性丘疹として始まり、次第に多発・癒合して境界明瞭な角化性紅色局面を形成する、原因不明の比較的稀な疾患です。手指、四肢伸側、胸腹部などに好発し、病変は潮紅を呈してその中心に白色の角化性病変(角栓)が入っています。
特に、肘頭や膝窩部では、炎症性角化性丘疹が融合して境界鮮明かつ不規則形の乾癬様局面を呈し、その上に鱗屑が付着し、おろし金様の白色の角化性丘疹が多数出現します。また、毛孔の無い掌蹠に強いびまん性の潮紅と過角化がみられることも多いです。約2割程度に掻痒や灼熱感を訴えます。
ときに皮疹が拡大して紅皮症化することがあり、その場合は正常皮膚が島状に残存することが多いです。

疫学

米国では1人/3500-5000人の頻度とされ、男女差無く発症します。
10歳未満と50 歳代に発症のピークがあります。家族性があり常染色体優性遺伝形式をとる症例が1割程度存在するとされます。小児発症例では大人になっても症状が持続することが多く、成人発症例では2~3 年で自然治癒あるいは寛解することが多いですが、時に再発します。

病理所見

正常角化と不全角化の交互配列を呈し、毛孔は開大し、その中に角栓が充満しています。その他に、顆粒層の肥厚や太くて短い表皮突起なども特徴の一つです。

鑑別疾患

乾癬、皮膚T 細胞リンパ腫、脂漏性皮膚炎、薬疹、魚鱗癬、対側性進行性紅斑角皮症などが挙げられます。

治療

対症療法として、ステロイド軟膏外用、活性型ビタミンD3 軟膏外用、エトレチナート内服などが一般的に行われます。尿素軟膏、サリチル酸ワセリン軟膏も併用されます。
この他に、シクロスポリン内服、PUVAやnarrowband UVB療法、生物学的製剤 (Infliximab、Etanerceptなど)も有効なことがあります。

執筆:2012.6