網状皮斑
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網状皮斑(リベド、livedo)
本症は、皮膚の末梢循環不全に伴って生じる。編み目状に分布した潮紅色調の皮斑を示す症状名です。 肉眼的形状により、編み目構造が保たれているか不完全かを指標として、下記の3種類に分類されています。
1)大理石様皮膚 (cutis marmorata)
暗赤色から紫色を呈する網状斑で、閉鎖性の編目、分岐状あるいは樹枝状模様を示し、一過性に消失する皮斑です。一時的な機能的循環障害であるとされ、組織的変化なく、可逆的です。
2)分岐状皮斑 (livedo recemosa)
持続的かつ不規則な編み目状の皮斑を呈するものを指し、時には浸潤を触れる赤紫色調の斑や小結節を有し、また潰瘍化することもあります。組織的にも血管の器質的障害を有し、真皮皮下境界部の小動脈におけるフィリン沈着、血管内皮細胞の膨化、内腔の狭小化や閉塞、あるいは血管周囲に炎症細胞の浸潤を認めます。
3)細網状皮斑 (livedo reticularis)
閉鎖状かつ持続性の編み目状斑を指し、組織学的には深部小静脈の鬱血や拡張が主体の機能性障害であり、明らかな器質的変化を認めないが、大理石様皮膚のように消失することはない。
*しかし、実際の皮疹は分岐状皮斑や網状皮斑が混在したり、移行したりするので、後2者をまとめて網状皮斑と呼称するのが一般的です。
原因
網状皮斑は真皮と皮下境界部の血管の閉塞性循環障害によって生じます。その原因として、鬱血、血栓、塞栓、血管壁肥厚、血液成分異常などの血管系の器質的異常あるいは一過性の機能異常が考えられます。
1)血流障害
- うっ血性:血管壁機能異常、心不全、アマンタジン療法
- 閉塞性:塞栓、oxalosis、潜函病、薬剤(ビスマス、ペンタゾシン、NSAIDs、ミノサイクリン)、血小板血症、クリオグロブリン血症
- 寒冷凝集素疾患:抗リン脂質抗体症候群
2)血管壁障害
- 動脈硬化
- 動脈炎:結節性多発性動脈炎、全身性エリトマトーデス、関節リウマチ、皮膚筋炎、リンパ腫、膵炎
- 感染性:結核、梅毒、C型肝炎、ブルセラ症、Coxiella burnetti(Q熱)
- 副甲状腺機能亢進症と高カルシウム血症:calciphylaxis
3)特発性
- 先天性:先天性血管拡張性大理石様皮斑
- 後天性:無併発性、併発性(夏季に潰瘍、冬季に潰瘍、全身性血管障害)
執筆:2012.8