慢性円板状エリテマトーデス
慢性円板状エリテマトーデス[(chronic)discoid lupus erythematosus;DLE]
本症は固着性の鱗屑が付着した円板状の委縮性紅斑を特徴とする皮疹を指します。従って、疾患名ではないので混同しないようにして下さい。
通常、この皮疹は頭頚部に限局して、他の身体異常や検査異常は示さないことが多いです (localized DLE)。しかし、稀にこの皮疹が頭頚部より下まで全身に多発することがあり、関節・腎・中枢神経などの身体症状や検査異常(下記参照)を伴うことがあります(widespread DLE)。このような場合はSLEに移行することもあります。
症状
日光露出部位(頬、下口唇、耳介、髪の生え際、頭部など)に境界明瞭で落屑と毛孔開大を伴う、円形の紅色局面が多発します。また、頭部に本症が生じると、毛包破壊による瘢痕性の脱毛を生じやすいです。この皮疹は日光暴露で増悪して、後に色素沈着や脱失を残して瘢痕化します。また、本症から有棘細胞癌が生じることもあるので注意が必要です。
病理所見
1) 表皮基底層の液状変性、2)表皮の扁平萎縮や過角化、3)真皮付属器および血管周囲に周密なリンパ球浸潤、4)真皮のムチン沈着を特徴とします。
検査所見
患者の多くは他臓器病変を伴わず、一般検査所見も正常です。しかし、widespread DLEでは、LE 細胞現象、抗核抗体、抗DNA 抗体が出現し、低補体血症を伴いSLE に移行する場合があります。
鑑別診断
SLE、皮膚筋炎、多形日光疹、皮膚リンパ球浸潤、扁平苔癬、皮膚サルコイドーシスなどが挙げられます。
治療
日光により増悪することが多いので、露光を避けることが重要です。
ステロイド軟膏、タクロリムス軟膏外用などが行われます。近年、ヒドロキシクロロキンが本症に有効との報告もあります。
執筆:2011.8