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原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖症

当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。

品川シーサイド皮膚・形成外科クリニック > 原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖症

原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖症 (primary cutaneous CD30+ T-cell lymphoproliferative disorders)

本症は原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫とリンパ腫様丘疹症を含む連続したスペクトラムを有し、浸潤細胞の75%以上の細胞がCD30陽性を呈します。但し、菌状息肉症から続発するCD30陽性腫瘍は除外されます。

1)原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫
(primary cutaneous anaplastic large cell lymphoma)

本性はCD30陽性リンパ球の浸潤による皮膚T 細胞リンパ腫で、多くはドーム状、局面状隆起した腫瘍、時には皮下の腫瘤として発症して、潰瘍化を伴うことが多いです。

病理所見

大型の異型リンパ球が表皮向性のないシート状に増殖・浸潤し、反応性リンパ球、好中球、好酸球も伴います。腫瘍細胞の75%以上がCD30陽性を呈し、また、CD4陽性のことが多く、細胞傷害性分子であるgranzyme B、Perforin、TIA-1は70%程度で陽性、CLAが陽性で、EMAやALKは陰性になることが多いです。
尚、全身性未分化大細胞リンパ腫あるいは菌状息肉腫などに続発して生じるCD30陽性リンパ腫の場合は、本症と診断しません。

治療

本症はALKが陰性にもかかわらず、予後は一般的に良好です。
放射線療法が有効なことが多く、単発の場合は外科的切除が行われることもあります。また、メソトレキセートも有効なことがあります。ごく最近では、皮膚に広範に播種して皮膚外に浸潤して再発・難治性の場合は、CD30抗原を標的とした抗体薬物複合体 (Brentuximab vedotin;ADCETRIS ®)で治療する事があります。

2)リンパ腫様丘疹症 (lymphomatoid papulosis)

本症は、大型で核異型を有する未分化、免疫芽球、ホジキン病類似の腫瘍細胞からなる慢性、再発性、自然消退性の皮膚限局性の疾患です。前者と比較すると大型細胞が少なく、好中球を始めとする炎症細胞の浸潤を伴います。
直径数mm~1 cm大までの鱗屑と掻痒を伴う紅褐色丘疹や結節性病変が体幹や四肢に出現し、中心に壊死や痂皮を伴うこともあります。各々の皮疹は2〜3週間で軽度の瘢痕と色素沈着を残して自然退縮しますが、年余にわたって繰り返し、新旧の皮疹が混在します。小児にも発症しますが、45歳前後に発症のピークがあります。
本症の20%の症例では、菌状息肉腫、原発性皮膚型未分化大細胞リンパ腫、ホジキン病を続発することが報告されています。

病理所見

CD30 陽性の大型異型細胞に加え、赤血球漏出や好酸球浸潤などを認めます。未分化大細胞型リンパ腫と同一スペクトラムにあると考えられています。

治療

臨床的には良性疾患に近いため、無治療で経過観察したり、ステロイド外用で対処します。自然消退しない際には、メソトレキセート内服、PUVA 療法などを行います。

執筆:2012.9