顔面播種状粟粒性狼瘡
顔面播種状粟粒性狼瘡(lupus miliaris disseminatus faciei )
本症は黄褐色から紅色調の半米粒大~小豆大の小結節あるいは膿疱が、顔面(特に上下眼瞼周囲、外鼻周囲、口囲、頬など)に左右対称性に多発する、比較的稀な慢性炎症性皮膚炎です。自覚症状に乏しく、比較的若年成人(20-30歳代)に多く発症し、小児は10%程度で少ないです。数年以内に自然治癒しますが、瘢痕が多少残ります。
従来、本症は皮膚結核疹の一種と考えられていましたが、現在では結核との関連は否定されており、近年では、本症は酒さあるいは酒さ様皮膚炎の一種と考える見方もあります。
原因
毛包脂腺成分への肉芽腫反応によると考えられていますが、その詳細な原因は不明です。
酒さに関連しているとされるDemodex folliculorumが、本症にも関与しているとの説もあります。
病理所見
肉芽中心部に乾酪壊死を伴い、その周囲を類上皮細胞肉芽腫が取り囲む像を呈することが特徴です。しかし、乾酪壊死を伴わない肉芽腫や血管周囲毛包周囲へのリンパ球・組織球浸潤のみにとどまる病理像を呈することもあります。
鑑別疾患
皮膚生検で確定診断しますが、尋常性ざ瘡、稗粒腫、酒さ、汗管腫、脂腺増殖症、青年性扁平疣贅、サルコイドーシスなどが鑑別疾患として挙げられます。
治療
テトラサイクリン系あるいはマクロライド系抗生剤が有効で、多くは1年から数年の経過で軽い瘢痕を残して治癒し、1年以内に目立たなくなります。また、DDS(レクチゾール)、ステロイド、ビタミンB2 & 6、抗マラリア剤、イソトレチノイン、トラニラストが有効だったとの報告もあります。オフロキサシン軟膏、レチノイン酸外用、タクロリムス軟膏外用も使用されますが、効果は不定です。ダイオードレーザーによる治療も報告されています。
執筆:2014.4