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クロンカイト・カナダ症候群

当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。

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クロンカイト・カナダ症候群(Cronkhite-Canada syndrome)

本症は、食道を除く全消化管(主に胃・大腸・小腸)に100個以上の消化管ポリープ(ポリポーシス)が発症し、皮膚色素沈着、爪甲萎縮や脱毛を併発する、比較的稀な原因不明の非遺伝性疾患です。ごく稀に大頭症を伴う若年に生じますが、通常は中年以降に多く発症し、下痢、腹痛、食思不振などの症状を伴う蛋白漏出性胃腸症を合併することが多いです。

症状

消化器症状(腹痛、下痢、下血、味覚や臭覚低下、食欲不振、体重減少など)が出現後、脱毛(頭皮、眉毛、腋窩、外陰部など)や皮膚症状(皮膚や粘膜の色素沈着、白斑、爪甲萎縮など)が引き続いて生じることが多いです。時に、神経症状(感覚障害、痙攣、失神、前庭障害など)を併発することもあります。
食道を除く全消化管に、粘膜固有層の浮腫状変化と膿疱性の腺管拡張および炎症性細胞浸潤を伴った若年性ポリープあるいは過形成性ポリープに類似した過誤腫性ポリープが、カーペット状に敷き詰められたように認めることが多いです。また、ポリープから大腸・直腸癌の合併がしばしばみられるので注意が必要です。
この他に、浮腫、筋疲労、白内障、眼瞼黄色腫などを併発することがあります。

原因

現在のところ原因不明ですが、消化機能、蠕動運動、吸収・分泌などの消化管の機能異常と、腸管内細菌の異常増殖(特にClostridium difficile、Helicobacter pylori)が想定されています。
皮膚症状は、消化管の機能異常による蛋白減少や吸収障害異常による続発性症状と考えられていますが、異論も唱えられています。
神経症状はカルシウム、マグネシウム、カリウムなどの電解質減少が関与していると考えられています。
貧血は、鉄、ビタミンB12、葉酸の吸収障害と消化管内での出血に因るものと考えられています。

治療

体液・電解質の補正と便排泄の制御を行うことで、症状が改善されます。時に自然治癒することもあります。
ステロイドと抗プラスミン製剤の全身投与、成分栄養や高カロリー輸液の投与を行います。
また、腸管内細菌の異常増殖を抑制するために、抗生剤も使用されることがあります。重度の貧血や出血がある場合は、輸血も考慮します。
サラゾピリンやメトロニダゾールも時に有効です。
ピロリ菌除去後、胃ポリープ除去する価値はあります。
大腸・直腸癌などの併発があれば、外科切除を行います。

執筆:2013.9