房状血管腫
当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません。
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。
房状血管腫 (tufted angioma; あるいは血管芽細胞腫(中川)angioblastoma of Nakagawa)
本症は稀な良性の血管腫の一つで、稀に大人で発症することがありますが、6-9割は乳幼児(0-5歳)の皮膚及び皮下に限局して発症します。初期には紅斑として生じますが、徐々にあるいは急激に拡大して、暗紫紅色に変化しながら扁平隆起性の浸潤局面を呈して腫脹し、圧痛や疼痛を伴うことも多いです。悪性化することはありませんが、自然消褪することは約10-30%程度と報告されています。本症の約30%に多汗症を伴うことがあります。
また、本症は乳児期に発症するKasabach-Merritt現象を生じる血管腫の一つと考えられています。
病理所見
真皮内に毛細血管の集簇した胞巣を多数認め、いわゆるcannonball appearanceの像(小型の血管内皮細胞が結節状に増加して、その中に小さな血管腔が形成されるパターン)を呈します。また、グルコーストランスポーターの一種であるGLUT-1 は陰性で、リンパ管内皮マーカーであるD2-40も陰性です。
治療
Kasabach-Merritt 現象を生じる場合は治療(Kasabach-Merritt症候群を参照)の対象になります。また、整容的あるいは広範な症状などでは、電子線照射、外科的切除、レーザー治療などが行われます。それ以外では経過観察になります。
執筆:2012.7