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Hermansky-Pudlak Syndrome

当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。

本症候群は、眼白皮症、血小板機能異常による出血傾向、リソソーム機能異常によるセロイドリボフスチン( ceroid lipofuscin) 異常沈着をきたす、稀な常染色体劣性遺伝疾患です。 本症の遺伝子変異は第10染色体長腕(10q2)に座位し、リソソーム機能異常が本症の原因と考えられています。HPS1, AP3B1, HPS3, HPS4, HPS5, HPS6, DTNBP1, BLOC1S3遺伝子が本症に関与していると考えられており、原因遺伝子に基づいて病型分類(HPS1~8)されています。

症状

皮膚や毛髪の色素減少、特徴的な眼症状(灰青色の眼、羞明、視力低下、眼振、斜視など)、出血傾向(鼻出血,歯肉出血、紫斑など)を認めます。
本症ではセロイドリボフスチンが肺、腸管、腎臓、心臓などに異常集積して、肺線維症、腎不全、肉芽腫性大腸炎などを生じて、その機能低下を起こします。最も多い合併症は肺線維症で、典型的には40-50歳頃に出現して致命傷となります。
皮膚の色素細胞の数は正常ですが、メサノソーム産生は減弱しています。
また、血小板内に存在する顆粒が減少しています。

診断

上記の臨床所見と血小板内の顆粒減少で診断できます。遺伝子診断は研究用としては可能ですが、その臨床的利用は限定的です。

治療

根治治療法はありません。 慢性出血にはビタミンEやバゾプレッシン誘導体(dDAVP)を使用することがあります。
肺線維症の進行をチェックするために、肺機能検査などによる定期健診が必要です。また、肺手術をすると術後肺合併症を生じやすいので注意が必要です。
本症で手術をする場合(特に眼手術)は全身麻酔で行うことが望ましく、出血傾向があるために術前、術中、術後の厳格な管理が必要となります。デスモプレッシンを術前から投与したり、術後に血漿交換療法も考慮する必要もあります。

予後

本症の合併症によって30-50歳程度で死亡します。約50%が肺線維症で、約15%が出血関連で、約15%が肉芽腫性大腸炎で死亡します。

*日本人の眼皮膚白皮症(oculocutaneous albinism, OCA) の約10%がHPSであることが報告されています。

執筆:2011.5