Hyperkeratosis of Nipple and Areola
当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません。
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。
本症は、乳頭ないし乳輪に自覚症状の無い疣贅状過角化と色素沈着を特徴とし、その症状は両側性あるいは片側性に生じる比較的稀な疾患です。母斑様症状を呈する症例や、妊娠中に類似症状が出現して出産後に軽快することもあります。
原因
明らかな原因は不明ですが、薬剤[前立腺癌用のエストロゲン、スピロノラクトン、ある種の抗癌剤(ヴェムラフェニブ)]で誘発されることがあります。
また、病変からウィルスは発見されていません。
疫学
本症は男女に生じますが、1:4で思春期以降の20-30歳代の女性に生じます。現在までに150症例ほどの報告がありますが、無症状のために医療機関に受診することが少ないため、実際にはより頻度が高い可能性があります。
病理組織所見
正角化性過角化と色素沈着が目立つが、特徴的所見に欠けます。
治療
角質溶解薬(サリチル酸、乳酸など)、トレチノイン、カルシポトリオール(ビタミンD3アナログ)などの外用は、十分な効果がありません。レチノイド内服は無効です。
また、色素沈着に対しては、ハイドロキノン+麹酸は効果があることもあります。
液体窒素による凍結療法や炭酸ガスレーザー治療は効果があります。外科治療による病変切除(必要あれば皮膚移植などによる再建)も効果があります。傷跡が許容される範囲での整容的治療をするべきです。
執筆:2022.9