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匍行性迂回状紅斑

当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。

匍行性迂回状紅斑 (Erythema gyratum repens)

本症は掻痒の強い蕁麻疹様小丘疹、浸潤性紅斑が出現し、徐々に遠心性に拡大して環状紅斑になり次第に互いに接して木目状、蛇行状、縞馬状を呈する特異な紅斑を呈し、消褪・再発を繰り返す稀な疾患です。中高年者の男性に生じることが多いです。
約80%に内蔵悪性腫瘍を合併するため、腫瘍随伴性皮膚病変とも呼ばれています。本邦では、肺癌の合併が最も多く、次いで胃癌、膵癌、喉頭癌、肝癌などもあります。海外では肺癌が最も多く、乳癌、膀胱癌、子宮癌、消化管癌、前立腺癌などの合併があります。
しかし、近年では本症に内蔵悪性腫瘍を伴わない症例(乳房肥大、肺結核、類天疱瘡、CREST症候群、毛孔性紅色粃糠疹、魚鱗癬、好酸球増多症、線状IgA水疱症など)も報告されています。

原因

本症の原因は不明ですが、下記のような悪性腫瘍に対する生体の免疫的機序も想定されています。

  1. 腫瘍抗原が患者皮膚成分の類似抗原に交叉反応を起こしている可能性
  2. 腫瘍産生物質が内因性の皮膚抗原を変性させ、そのことにより免疫認識に変調を起こしている可能性
  3. 腫瘍抗原が抗体と免疫複合体を形成して、皮膚組織に沈着して生じる可能性

検査

本症がある場合は、悪性腫瘍が高率に合併している可能性があるので、全身検索することが肝要です。但し、悪性腫瘍と診断される1-72ヶ月(平均9ヶ月)前に本症が出現することが多いですが、本症が出現してから0-9ヶ月後に悪性腫瘍を診断できることもあります。
従って、全身検索して悪性腫瘍が認められなくても、注意深く定期的経過観察と精査が必要です。

治療

病変にステロイド外用や局注しても効果はほとんどありません。
合併する内蔵悪性腫瘍の切除により、本症の皮疹も消褪することが多いです。

執筆:2014.6