皮膚動静脈奇形

皮膚動静脈奇形(cutaneous arteriovenous malformation)

本症は、先天的な血管奇形が基礎にあり、胎生期の動静脈瘻(毛細血管を通らずに直接に動脈から静脈に血液が短絡する病態)が複数個併存することから始まり、その後徐々に病変が進行していきます。即ち、出生時に皮膚紅潮や単純性血管腫様を呈するか、あるいはそれほど目立たない場合でも、ある時期から増大傾向を示し、動脈血の異常流入により皮表が熱感を帯びて腫大し、拍動や血管雑音を伴います。悪化すると、出血、潰瘍、疼痛や感染などを生じ、心不全に至ることもあります。
例えば、四肢に生じた場合には、患部の肥大や骨の異常な発育・肥大を認め、眼球周囲に発生した場合には、病変が進行して失明に至ることもあり、顔面頸部に生じた場合は、醜形や大出血を起こして、生命を脅かすこともあります。皮膚以外にも、脳、脾臓、肺、腎臓、脊髄、肝臓、精索などにも生じ、重要臓器に障害を起こす可能性がありますが、一方では生涯症状を生じない場合もあります。
動静脈奇形の大きさや形状も多様で、肺や脳、肝臓、筋肉などに塊状の異常血管を生じるもの(局限型)、四肢などの動静脈間に無数の細かな交通を生じるもの(びまん型)、頭頚部や四肢などの比較的太い動脈幹と静脈に生じるものなどがあります。

原因

本症は原因不明で、通常は遺伝性疾患ではありません。但し、特定に遺伝子疾患 (Klippel-Trenaunay-Weber 症候群、Von Hippel-Lindau病 、遺伝性出血性末梢血管拡張症など)に付随して生じることがあります。

疫学

米国では1.4人/10万人/年の発症とされています。

検査

血管造影検査を行い、血管奇形の病態(動静脈瘻やニーダスなど)を把握して治療指針の参考にします。必要であればこの検査の際に、塞栓術を引き続き行うこともあります。

病理所見

拡張した蜷局を巻いたような血管や動静脈瘻が多数存在し、一部には動脈瘤を認めることがあります。周囲にはヘモジデリン沈着も認められることがあります。しかし、個々の細胞は良性で悪性化することはありません。

治療

病態によって治療選択は異なり、手術や経動脈的塞栓術、塞栓硬化療法、放射線療法などが行われますが、再発しやすく完治することが困難な疾患です。
特に、脳にある病変を上記の治療などを行うと、約10%程度に後遺症が生じるとされています。

執筆:2012.5

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