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亜鉛欠乏性皮膚炎

当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。

亜鉛欠乏性皮膚炎(腸性肢端皮膚炎)

亜鉛は生体に必須な微量元素であり、生体内の酵素・蛋白質・細胞の構成成分として重要な役割を演じています。哺乳類では300種類以上の亜鉛酵素が知られており、これらの酵素は核酸・蛋白・脂質代謝・DNA&RNA合成機能に関与し、神経刺激伝達物質の合成機能に関与し、ホルモンの合成・分泌機能に関与し、活性酸素の機能抑制にも関与しています。従って、亜鉛欠乏が生じると下記に示すような実に多彩な欠乏症状を示します。その多くの症状が他の疾病状態でも生じ得る一般的症状でもあるので、亜鉛欠乏症の症状と気付かないことも多いです。

症状

食事拒否、食欲不振、味覚障害、嗅覚障害、舌痛・舌炎様症状、口腔咽頭症状、 褥創、創傷治癒遅延、下痢(反復性、持続性)、皮膚症状(腸性肢端皮膚炎)、脱毛、貧血、夜盲症、免疫低下、精神状態の異常・行動異常、性的発育遅延、精子減少・無月経など

亜鉛の吸収不全による先天性腸性肢端皮膚炎(常染色体劣性遺伝)は極めて稀ですが、後天性の亜鉛欠乏性皮膚炎は、しばしば認められます。例えば、未熟児が低亜鉛ミルクや低亜鉛の母乳や吸収不全などにより発症しやすいことや、食事摂取不能、高カロリー輸液、肝障害などにより、広い年齢層に引き起こされます。最近では高齢者の亜鉛欠乏による症状が注目されています。 皮膚症状の特徴として、開口部位(眼瞼、口囲、鼻孔、耳介周囲、肛門)と四肢末端に皮膚炎を生じます。皮膚炎は境界明瞭のことが多く、水疱・糜爛・痂皮を伴うことがあり、時に乾癬様を呈し、この他にも爪甲変形・脱毛を生じることもあります。加えて、上述のように皮膚症状以外の多彩な症状も認められることが多いです。

診断

血清亜鉛濃度の低下やALP活性低下が診断の助けになります。

治療

亜鉛補充量療法(亜鉛を含有する経腸栄養剤、硫酸亜鉛、プロマック™ の内服など)で、症状は速やかに改善することが多いです。

執筆:2010.11