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眼瞼下垂:単純性眼瞼下垂症

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生後あるいは1年以内に上眼瞼が垂れ下がった状態が先天性眼瞼下垂である。眼瞼下垂は片側(約70-80%)あるいは両側に生じる。発症頻度に男女差は無い。
約8割の先天性眼瞼下垂では、眼瞼挙筋の局部の筋原性発生障害に起因する。正常の眼瞼挙筋の筋線維に比較して、筋腹に線維組織や脂肪織が多く、このため筋収縮・弛緩が減弱あるいは消失している。神経あるいは神経筋接合部の機能異常などで眼瞼挙筋の支配神経が阻害されると生じる場合もあるが1割程度と考えられる。これらの発症機序は不明であるが、家族性に発症する眼瞼下垂(1p34.1-p32.;Xq24-q27.1.)も報告されている。
先天性眼瞼下垂症に合併する斜視は約15%程度と高頻度に合併(通常の斜視発生率は2-3%程度)し、外斜視と交代性上斜位が多い。また、先天性眼瞼下垂に下眼瞼内反症を合併することは稀ではない。下眼瞼内反症があると、眼を細める傾向があるため、一見下垂が高度に見えることがある。

大多数の先天性眼瞼下垂の場合は完全な視野障害を生じることは少ないが、数日から数週にわたる視野障害がある場合は弱視に至ることがあるので、注意が必要である。
視力や眼の機能が発達する乳幼児期に眼瞼下垂があると、片眼しか使わなくなるために斜視や弱視になりやすいのではないかとの意見がある一方で、眼瞼下垂があっても視力や眼の発達を阻害することは無く、元々斜視や弱視が合併しやすいとの意見もある。
この他に、眼瞼下垂の圧迫による乱視、眼性斜頚が生じることもある。
弱視、斜視、異常頭位、乱視などの兆候が無い場合は3-4歳頃まで経過観察して良い。眼瞼下垂の程度、頭位異常、弱視が著明な場合は手術に踏み切る。
手術には眼瞼挙筋前転法、上眼瞼吊り上げ術などがある。下垂の原因や挙筋機能の程度により手術方法が異なってくる。一般に、挙筋機能4mm未満では上眼瞼吊り上げ術を行い、挙筋機能4mm未満以上であれば眼瞼挙筋前転法の適応になることが多い。いずれの場合も、術後角膜炎にならないよう十分注意して手術を行う。