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眼瞼下垂:筋強直性ジストロフィー

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本症の特徴的臨床症状は、先天型は新生児期の筋緊張低下、顔面筋麻痺、中等度の精神運動発達遅滞を主徴とし、胎動減少や新生児期の呼吸不全も特徴的で、筋強直や白内障などは成人になってから認める。成人発症型は顔面、頚部、四肢遠位部から筋力低下、筋強直、ミオトニア(筋弛緩に時間がかかる)、筋萎縮を生じ、さらに、白内障、禿頭、性腺機能不全、内分泌障害(糖尿病や甲状腺機能低下症など)、心筋異常・心筋伝導障害、呼吸機能低下、嚥下困難、胆石症、骨病変、知能障害などの多彩な症状を呈する。
眼症状は、症状の進行と共に眼瞼下垂も目立ち、眼輪筋の筋力低下、外眼筋麻痺が生じ、いわゆる斧状顔貌(顔面下半分が細くなる)を呈する。また、クリスマスツリー状白内障を呈するのが特徴である。
本症は常染色体優性遺伝で、5/100000の発症頻度である。19番染色体(19q13.3)上の蛋白キナ-ゼ遺伝子(MT-PK: myotonin protein kinase)の下流に存在するCTG反復配列の異常な伸長が原因である。反復増加が高度であると先天型となり、中等度であると成人発症型となる。反復数が多いほど重症化する傾向がある。CTGリピート伸長の判定は、サザンブロット法やPCR法で比較的容易に検出できる。
その他の検査所見として、筋電図において電極刺入時の急降下爆撃音(ミオトニア放電、高振幅)、血清CKの軽度上昇、IgGの異化亢進によるIgG低下、インスリン抵抗性の耐糖能異常など、筋生検では筋線維の大小不同、横紋の消失などがみられる。
最近の染色体研究では、CTGが伸長することで周辺のクロマチン構造に変化が生じたり、近傍の遺伝子に異常なメチル化が生じるとの報告もある。一方、RNA研究では、DMPK遺伝子のCTGリピート領域の転写 産物特有に結合する蛋白(CUGBP)が見つかり、これがhuman cardiac troponin T (TNNT2)の転写後の修飾(RNA splicing)に関与していることが判明し、このことからCTGの異常な伸長が筋細胞等で、正常な転写後修飾をさまたげていることが、原因と考えられている。異常伸長したCTGを有するmRNAは核内に異常蓄積するとも言われている。