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カスパーゼ14

顆粒層を含む表皮の中間層に特異的に発現するカスパーゼ14という蛋白分解酵素があります(Denecker G et al; Caspase-14 reveals its secrets. J Cell Biol. 180(3):451-8, 2008)。
カスパーゼ14は角化細胞が終末分化する過程で重要な役割を演じていると共に、角質化によって伴って生成される主要蛋白質であるプロフィラグリンの代謝過程にも関与しています。プロフィラグリンから成熟型のフィラグリンに変化し、その後カスパーゼ14の働きにより、アミノ酸単位にまで分解されます。最終分解産物は、肌の潤いを維持する保湿因子(NMF)の一種として機能しています。
実際、カスパーゼ14を欠損させたマウスを作成すると、成熟したフィラグリンが分解されないために、不完全分解された蛋白質が表皮中間層に大量に蓄積して、外観上は「きめの粗い」表皮となり、保湿機能も著明に低下します。
このように、カスパーゼ14は表皮の分化を制御するだけでなく、肌の潤いを維持するのに不可欠な保湿因子であるアミノ酸生成にも関与していると考えられています。一方、カスパーゼ14欠損マウスでは、角質層を通過する紫外線透過率が亢進してしまうために、表皮細胞のDNA損傷を生じ易くなります。即ち、カスパーゼ14は角質層における紫外線遮断効果にも重要な役割を担っていると考えられます。
今後、この酵素の活性を調節する物質が開発することができれば、美肌効果と紫外線遮断効果を兼備した優れものの医薬品が期待できるかもしれません。