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健康食品による健康被害

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いわゆる健康食品とは「健康の保持増進に資する食品全般」であり、国が保健効果や健康効果などの表示を許可していない製品(一般食品)を指しています。また、食品に対しては、医薬品のような疾病の診断、治療または予防に関わる表示することを原則として認めていません(但し、特別用途食品、特定保健用食品、栄養機能食品については例外的に限定された範囲で特定の保健機能や栄養機能を表示することが認められています)。また、サプリメントは「ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ等の特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品」に該当するので、広い意味ではサプルメントも健康食品の範疇に入ります。

健康食品やサプリメントの利用は近年拡大しており、約3割の人が毎日利用し、過去の利用経験を含めると約8割の人が利用しています。その利用目的は、健康維持や栄養成分補給、疲労回復、ダイエット、病気の予防などですが、5%は病気の治療目的に使用されています。しかし、果たしてこの健康食品やサプリメントは信頼できるほどの有用性があるのでしょうか? 過去に報告されている健康食品が関連する健康被害の事例を分析してみると、下記のような要因が考えられます。

1)製品の品質や偽装表示(違法に医薬品成分を添加、有害物質の混入、不均一な品質等)

a)違法な製品の流通
健康食品に「医薬品に該当する成分を配合したり、医薬品と紛らわしい効能などの表示・広告を行ったりすること」は薬事法で禁止されています。それにもかかわらず、違法製品(無承認無許可医薬品)が行政のチェックを掻い潜って市場に流通しているので、注意が必要です。摘発された違法製品の入手経路の大部分はインターネット経由あるいは渡航先での個人輸入です。

b)多様な品質
健康食品には多様な品質の製品があり、その中には有害物質が混入している可能性も否定できません。また、健康食品の製品の中に複数の成分が添加されていることも少なくありません。そのような製品に実際含まれている成分量は、全く効果の無い微量であったり、表示と全く異なる成分が添加されていることもあります。
医薬品は均一な品質で製造されていますが、健康食品では名称が同じ製品でも、利用されている原材料の純度や成分量などの品質が製造業者により様々です。特に、ハーブなどの天然植物エキスの場合、原材料に含まれる成分が特定されていないことが多く、含まれる成分についても産地や収穫時期によってかなり変動します。このように健康食品の品質が一定していないため、原材料情報が必ずしもその製品の品質を反映しているとはいえません。さらに、医薬品は病者を対象に安全性・有効性の試験が実施されて、科学的根拠も十分にありますが、健康食品では試験管内実験や動物実験が主体の試験で、病者を対象にした試験は殆ど実施されていません。

2)不適切な利用方法

「食品だから安心、天然や自然という言葉が付いていれば安全」といった風潮の下に、健康食品が消費者の自己判断によって気軽に利用されています。健康食品自体に有害作用が無くても、消費者が自己判断で健康食品の効果を過大評価して病気の治療や治癒を期待して利用すると、科学的根拠に基づく医薬品による治療の中断や放棄によって病状を悪化させかねません。また、健康食品の中にはアレルギーや薬剤性肝障害などを起こす成分もあるので注意が必要です。さらに、健康食品を長期間、安易に過剰摂取していると、過剰症を起こす危険性もありえます。

3)利用対象者の体質など

健康な人が健康食品を利用する状況では、健康被害がそれほど起こらないと思われますが、病者、幼小児、妊産婦、高齢者などでは健康被害を起こしやすいため、注意が必要です。

4)医薬品や他の健康食品との相互作用

医薬品と健康食品が併用された場合、医薬品の効果が減弱したり、医薬品の副作用が増強されたりすることもあります。

上記のような要因が複合的に影響し、テレビや雑誌、インターネットを介して発信される不確かな情報の氾濫が、健康食品に対する誤解や健康被害の発生に繋がっています。 最近ではインターネットの目覚しい発展により、瞬時に膨大な情報を収集することが可能になりましたが、それらの収集した情報が必ずしも全て公正かつ科学的根拠のあるものではありません。健康食品情報の場合、検索の上位に掲載される情報の大部分は、商品販売に関連した事業者などから提供されるもので、その商品の有効性を主体に宣伝されており、危険性や有害性に関してはあまり公開されていません。 公的機関や公益的、中立的な団体・組織が提供している情報は信頼できるので、健康食品を利用する場合には、下記に掲げた健康食品に関する情報提供サイトをご活用下さい。