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品川シーサイド皮膚科形成外科クリニック
 
  美白剤
●美白剤 ●紫外線と遮光 ●痒みのメカニズム

■美白剤
肝斑、雀卵斑、炎症後色素沈着、光老化(しみ、そばかす、老人性色素斑など)などに有効です。下記に代表的な美白剤を簡単に列挙します。
ハイドロキノン
ハイドロキノンはチロシナーゼ活性を阻害してメラニン合成を阻害し、また、メラノサイトの細胞活性を抑制して漂白作用をおこします。欧米で最も汎用されている安全性が高い可逆性の美白剤ですが、我国では未認可です。しかし、現実には2〜10%濃度のハイドロキノンが流通しています。副作用としては、刺激性接触皮膚炎、爪変色、炎症後色素沈着、脱色素斑などがありますが、使用中止すると軽快するとされます。長期使用で組織褐色変症を生じることがありますが稀です。
ビタミンC誘導体
ビタミンCはドーパキノンをドーパに還元して間接的にチロシナーゼ活性を阻害してメラニン合成を阻害する美白剤です。ビタミンCの安定化ならびに経皮吸収を促進するために、その誘導体が開発されています。ビタミンCは真皮に直接作用してコラーゲンの再生を促し、また、抗酸化作用を持つため、紫外線により生じる活性化酸素を無害化する作用があります。ケミカルピーリング後やイオントフォレーシス時にビタミンCを使用すると、経皮吸収が促進します。
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レチノイン酸
レチノイン酸はビタミンA(レチノール)の誘導体で、その生理活性はレチノールの約300倍です。レチノイン酸は表皮のターンオーバーを促進し角質を剥がれやすくし、角質層を増殖させて表皮を厚くし、皮脂腺の分泌を抑制し、表皮基底層周囲に存在するメラニン顆粒の排出を促進します。また、真皮では線維芽細胞を刺激することにより、コラーゲン線維やムコ多糖を増やして真皮の厚くしますが、その効果の発現には時間を要します。海外では広く臨床に使用されていますが、本邦では未だ未認可です。副作用として、皮膚刺激症状(ひりひり感、痒み、発赤、腫脹)が外用開始後2−4週で最大になり、遅れて皮膚乾燥や落屑が出現しやすいです。また、催奇形性の可能性があるため、外用治療時は、避妊して下さい。
特に、色素沈着には作用機序の異なるハイドロキノンとレチノイン酸の併用が最も効果的です。
アルブチニン
アルブチニンは主にコケモモの植物に含まれるハイドロキノンのグルコース配合体で、チロシナーゼならびにTRP-1阻害作用を持ち、メラニン生成抑制作用を示します。
エラグ酸
エラグ酸は、マメ科植物タラに含まれるタラタンニンの酸化によって生成される。コウジ酸と同様の機序(チロシナーゼの活性に必須の銅をキレートしてこの酵素を不活化)で、美白効果を示します。
ルシノール
ルシノールは、モミの木に含まれる物質を原料として得られるレゾルシン誘導体の一種です。ルシノールはチロシナーゼを拮抗的に阻害し、TRP-1活性阻害作用も併せ持ちます。また、これら細胞内酵素蛋白質量を減少させる作用もあります。
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油溶性甘草エキス
甘草の根から抽出したもので、主成分としてグラブリジン、グラブレンなどが含まれています。ハイドロキノンより強いチロシナーゼ活性阻害作用を持ちます。TRP-2の働きおよびDHIへの自然酸化も抑制します。
アゼライン酸
米国ではにきび治療として認可されており、育毛効果を持つと言われています。ハイドロキノンより強い美白効果を持ちますが、その詳細な機序は不明です。
カモミラET
カモミラETはカミツレからのスクワレン抽出物で、チロシナーゼ活性阻害作用は無く、メラノサイトを刺激するエンドセリン-1の細胞内シグナル伝達系を抑制して美白効果を発揮します。
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L-システイン
L-システインはSH基を持つ含硫アミノ酸で、表皮に多量に存在します。L-システインのメラニン生成阻害作用は、の銅との結合ならびに淡黄褐色のフェオメラニン合成の促進によるものとされます。
リノール酸
リノール酸は大豆油脂中に多く含まれるC18必須不飽和脂肪酸です。チロシナーゼ活性阻害作用はありませんが、メラノサイトの細胞内チロシナーゼ蛋白が分解されて、その活性が低下することにより、美白効果を示します。
プラセンタエキス
胎盤抽出液の総称で、成分は多種多様な生物因子を含む混合物です。メラニン生成抑制作用がありますが、この他にも保水性、角質溶解作用、抗炎症作用、血流促進、創傷治癒促進作用などがあり、それらの相乗効果で美白効果を示すと考えられています。
ビタミンEフェルラ酸エステル
メラノサイトに対する細胞毒性は示さずに、チロシナーゼ活性を阻害する作用がある。
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■紫外線と遮光
紫外線の一般知識
地上に到達する紫外線のうち、90%はUVA(波長320−400nm)で、10%がUVB(波長290−320nm)ですが、UVBが最も強力な影響を及ぼす紫外線です。290nmより短波長の紫外線UVCはオゾン層で吸収されて地上には到達しません。UVBもオゾン層で大半が吸収されますが、その一部が地上に到達しており、近年オゾン層の破壊による増加が危惧されています。特に、南北両半球の中高緯度地域では紫外線量が6−14%も増加しているとの報告もあります。
紫外線(UVB)の強さは時刻・季節・天候・地形などにより変化します。一般に正午前後、6−8月が最も紫外線が強くなり、標高が300m上昇すると紫外線は約4%増加し、雪・水面・砂・アスファルトなどは紫外線を強く反射するため紫外線が強くなります。また、日本では北から南にいくにつれて紫外線量が増加し、沖縄は北海道の約2倍量の紫外線が地上に到達します。
UVAは雲や窓ガラスを通り抜けて、UVBの20-30倍が常時注がれています。UVAは真皮深層まで到達して、光老化(シミ、皺など)や光アレルギーを引き起こし、弱いながら皮膚発癌作用もあります。また、UVAはUVBの作用を増強する効果もあります。
UVBは真皮を透過しないものの、表皮細胞の遺伝子を直接傷害して、日焼けやシミを生じさせ、DNA損傷を生じさせ、免疫反応を低下させて単純性疱疹や帯状疱疹の引き金となり、皮膚癌(有棘細胞癌、基底細胞癌、悪性黒色腫)の原因にもなります。
この他にも、紫外線は翼状片、白内障などの危険因子と考えられています。最近では、UVA とUVB共に、真皮内のコラーゲンを壊す酵素の働きを助長して皺の原因になるといわれています。
一方では、UVBは生理的にはビタミンDを合成する重要な役目を果たしていますが、1日に必要なビタミンDは顔や手に15分程度の紫外線暴露で十分合成されると考えられています。
このように、長期の紫外線曝露は光老化や皮膚癌・白内障などの原因になり、また、酸化反応(活性酸素の遊離)を誘起することから、紫外線対策は大変重要になります。
紫外線対策
a. しっかりした織目や網目の生地の衣服の着用:太陽光が透けない生地で、白や淡い色調のものは紫外線を反射させます。生地の素材は木綿およびポリエステル・木綿混紡が紫外線防止に適しており、体を覆う部分の多い衣服が紫外線暴露を少なくします。
b. 帽子の装用:幅の広いつばのある帽子が紫外線防止に効果的です。
c. サングラスの装着:紫外線カットのレンズを使用していないサングラスを装用すると、太陽の光が少なくなるために瞳孔が散大して相当量の紫外線が眼の中に入るため、かえって危険です。従って、サングラスを装用する場合は、紫外線防止効果が明示してあるものを使用して下さい。また、最近では通常の眼鏡に紫外線カットのレンズが使用されていますが、紫外線は正面からだけでなく、上下、側方、後方からも眼に入ってくるため、レンズサイズの小さな眼鏡や顔の骨格に合わない眼鏡では紫外線に対して十分な防止効果を期待できません。従って、ある程度の大きなレンズで顔にフィットする眼鏡を装用するようにして下さい。
d. 日傘の使用:日差しの強いときの外出などに、日傘の使用は効果的です。最近では紫外線防御機能を高めた日傘も登場しています。
e. 日陰の利用:日陰では紫外線暴露量は減りますが、間接的に空中で散乱したり、地面や建物からの反射もあるので、日陰であっても紫外線を浴びることを忘れないで下さい。
f. サンスクリーン剤の使用:外出前に皮膚に塗布し、屋外で長時間活動する場合には定時的に塗布しなおす必要があります。一般にサンスクリーン剤には吸収剤と散乱剤の2種類があり、両者を組み合わせたものもあります。水泳や汗をかいてサンスクリーン剤が取れにくい耐水性のものも製品化されています。詳細は後述します。
g. 紫外線予報:天気予報と同様にある程度の不確実性はありますが、その情報を基に、屋外活動における行動制限や紫外線対策の参考になります。
遮光剤(サンスクリーン)
I. 皮膚の光防御機構
生体には、下記のような本来備えている光防御機構がありますが、完全に防御は出来ません。
a. 角層における紫外線吸収と散乱:特に、ヒスチジン・チロシン・トリプトファンなどのアミノ酸やウロカニン酸による吸収
b. 表皮内のメラニンによる吸収と散乱および活性酸素の消去
c. 脂肪組織中に蓄積されたβカロチンなどの活性酸素消去剤
d. スーパーオキシドジスミュターゼ(superoxide dismutase)やグルタチオン・ペルオキシダーゼ還元酵素
e. 紫外線照射後のDNA損傷の修復能力

また、従来はUVBのみに対する防御を考慮していましたが、最近では光老化を生じさせ、UVBの作用を増強するUVAに対する防御も配慮する必要がでてきました。先述したような物理的防御を行うと共に、個々人の紫外線感受性(日本人のスキンタイプ別の遮光剤の選択)に従って、サンスクリーン剤の使用に注意を払う必要があります。
II. 日本人のスキンタイプ
:強い日差しを浴びると、肌が赤くなり、1週間経過しても黒くならない。光に対する感受性が高く、紫外線による肌障害を起こしやすい人。子供の頃から紫外線対策が必要。
II:強い日差しを浴びると、軽度に肌が赤くなり、1週間後には黒くなる人。日本人に最も多いタイプ。日頃から紫外線対策を心がけたい。
III:強い日差しを浴びても、ほとんど赤くならず、数日後にはより黒くなる人。紫外線に対する抵抗力は他のタイプより高い。
*日本人ではI型が20%、II型が70%、III型が10%と考えられています。
*I型は前癌状態の日光角化症に罹患しやすいとの報告もあります。
III. Sun Protection Factor (SPF) & Protection Grades of UVA (PA)
SPF(1〜50+):UVB遮断効果の指標。サンバーンを起こすまでの時間がどれだけ延長するかを示します。たとえばSPF10は、塗布しないときよりも10倍量のUVBに耐えられることを意味します。
PA(+、++、+++):UVA遮断効果の指標。色を黒くする変化が起こるまでの時間を延長する力を示します。
IV. スキンタイプ別の遮光剤の選択
活動別
日常生活
濯物を干す

日常的外出
買い物や外回りの
仕事など

レジャー
屋外スポーツ
海水浴やプール
スキンタイプ
1時間まで
1〜3時間
3時間以上
I
SPF10 PA+
SPF30 PA+++
SPF50 PA+++
II
SPF10以下 PA+
SPF20 PA++
SPF30 PA+++
III
SPF5以下 PA+PA+
SPF10 PA+
SPF20 PA++

V. レジャー・リゾート地での紫外線対策
登山・スキー・海水浴・水泳などでは紫外線が強く体中に照射されているため、サンスクリーン剤を定時的に塗り替えることは必須です。汗を大量にかいたり、水に浸かるマリンスポーツでは、耐水性のサンスクリーン剤を使用していても効果が落ちて取れてしまうので、最低1回は塗り直すべきです。また、たとえ曇天時でもUVAは雲を通過して皮膚に降り注ぐので、サンスクリーン剤の使用は必要です。
さらに、推奨される塗布量は2mg/cm2になっていますが、実際には1/2〜1/4の使用量しか塗布していないことが多いので、いつもより多めに塗布することを心掛けて下さい。
VI. サンスクリーン剤の種類
サンスクリーン剤には紫外線吸収剤(UVA吸収剤:パルソール1789、ソフトシェードA;UVB吸収剤:オキシベンゾン、ユビナール、エスカロール、シノキサート、パルソールMCX、ホモサレート、チヌビンPなど)と紫外線散乱剤(UVA吸収:微粒子酸化亜鉛;UVB吸収:微粒子酸化チタンなど)があります。前者は時に接触皮膚炎や光接触皮膚炎を生じることがあるため、敏感肌やケミカルピーリング後のサンスクリーンには後者を用いた方が無難です。
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■痒みのメカニズム
痒みを大別すると、末梢性と中枢性のものがあります。以下、現在解明されている範囲でのメカニズムを簡単に説明します。
1.末梢性の痒み
表皮−真皮境界部に存在する知覚神経(C線維)の自由神経終末が種々の刺激により活性化されると、脱分極を起こして神経の興奮として脊髄→脊髄視床路→(視床を経由)→大脳皮質に伝達され、痒みとして認識されます。
誘発刺激には、物理的刺激(電気的、機械的、温熱刺激など)とケミカルメディエーターによる化学的刺激があります。後者にはアミン類(ヒスタミン、セロトニン)、プロテイナーゼ(トリプターゼ、キマーゼなど)、ペプチド(サブスタンスP、ブラジキニン、エンドルフィンなど)、サイトカイン(IL-2)などがあります。
通常認められる痒みは末梢性の痒みで、主としてヒスタミンが関与しているため、大部分の痒みは坑ヒスタミン薬により抑制されます。

2.中枢性の痒み
オピオイドペプチド(β‐エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリンなど)が神経組織や細胞膜上に存在するオピオイドレセプター(μ、κ、d、ノシセプチン)に結合することによって生じる中枢性の痒みがあります。
β−エンドルフィンはμ−レセプターに結合して痒みを誘発しますが、ダイノルフィンはκ−レセプターに結合して痒みを抑制します。β−エンドルフィン/μ−レセプター系がダイノルフィン/κ−レセプター系より優位であれば痒みが誘発され、逆の場合は痒みが抑制されます。
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痒みのメカニズムをもう少し詳しく説明すると、痒みはアレルギー性反応に伴うケミカルメディエーター(マスト細胞、神経ペプチド、リンパ球とサイトカイン、好酸球、オピオイドペプチドなど)によるものと、皮膚バリア機能障害(ドライスキンなど)を伴う痒み閾値の低下によるものが密接に関連して生じていると考えられます。
A. 炎症性メディエーター
a. マスト細胞
痒みにおけるマスト細胞の重要性は良く知られています。マスト細胞の脱顆粒により遊離されたヒスタミンはC線維のH1受容体と結合し、また、プロテアーゼ(トリプターゼやキマーゼなど)は直接痒み受容器を刺激し、この他にもマスト細胞由来のアラキドン酸代謝産物(ロイコトリエンB4、C4など)、血小板活性化因子(PAF)、TNF-α、インターロイキン(IL)なども痒みを誘起します。
b. 神経ペプチド
サブスタンスP(SP)を含め、種々の神経ペプチドが痒みに関与していると考えられています。特にSPはマスト細胞を活性化・脱顆粒させる機序(マスト細胞依存性経路)とSPの主要受容体であるNK-1R(neurokinin-1 receptor)を介する直接作用の両者が関与していると考えられています。 c. リンパ球とサイトカイン
リンパ球が種々のサイトカイン(IL-2など)を分泌して痒みを誘発しています。
d. 好酸球
アトピー性皮膚炎では好酸球のIgE受容体の発現が亢進しているため、結合しているIgEで抗原を捕捉することで活性化して脱顆粒し、痒みを誘発していると考えられています。 e. オピオイドペプチド:アトピー性皮膚炎ではβ−エンドルフィンの血中レベルが高いと指摘されています。
B. 皮膚バリア機能障害(ドライスキン)
ドライスキンとは、皮膚のバリア機能の低下、角層の水分保持機能の低下、水分蒸散量の増加などにより、角質中の水分含有量が低下した潤いのない皮膚の状態です。特に、角層の水分保持には、皮脂膜(皮脂腺や汗腺の合成・分泌により形成される)、角質細胞間脂質(セラミドなど)、天然保湿因子(フィラグリン分解産物のアミノ酸など)が関与していますが、これらの因子の欠乏に加えて、冬の湿度低下も悪循環を形成します。
一方、ドライスキンでは角化細胞から産生される神経成長因子(NGF)が表皮内への神経線維の伸展を促進するために、C線維が表皮の角層直下にまで侵入しています。皮膚本来のバリア機能が破壊されているドライスキンの角層を介して、物理的・化学的・機械的刺激によって、ケミカルメディエーターを介さずに直接C線維の活動電位が生じて、その興奮が中枢に伝達されて痒みが生じます。 以上のように、ドライスキンになると、痒み閾値の低下、皮膚の被刺激性の亢進、抗原の侵入によるアレルギー性炎症が誘起されやすくなります。
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掻破による痒みの悪循環 痒みに対する掻破は皮膚のバリア機構の破壊を生じ、その結果、皮膚角化細胞から炎症性サイトカイン(IL-2、TNF-αなど)やNGFなどの遊離が亢進して痒みを増幅します。また、掻破による物理的刺激はC線維の一部を逆行性に刺激してSPや神経ペプチドを放出させ、直接的あるいは間接的にマスト細胞を脱顆粒させてヒスタミンやその他のメディエーターおよびサイトカインなどを遊離させるようになります。これにより、血管拡張や炎症を誘起させて、さらに浸潤細胞や炎症細胞から起痒物質が放出されて悪循環を生じることになります。
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